退職・解雇のポイント


1、定年は何歳になっていますか?再雇用制度はありますか?

定年の最低年齢は60歳です。さらに、継続雇用または再雇用で65歳までの雇用が義務づけられています。

2、再雇用する要件は決めてありますか?

再雇用についての労使協定書で再雇用する要件を決めていない場合、全員を無条件で再雇用する必要があります。

3、退職の意思表示は、何日前までにすることになっていますか?

自己都合退職の場合、法律上は2週間で 退職が認められますが、適任者が見つかりにくいポストの者が退職するときのことを考え、「1ヵ月以上前」と記載しておくほうがいいでしょう。

4、同業他社への再就職の規制についての記載はありますか?

就業規則は従業員でない者についての抑止力はありませんが、無秩序な同業他社への再就職は阻止しなければいけません。また、不正競争防止法により保護される場合もあります。期間を定めて制裁措置を決めておくべきでしょう。ただし、近年の判例を見ると競業禁止義務の対価にふさわしい報酬を支払っていないと無効となる可能性が高いようです。

5、「解雇」についての記載は何項目ありますか?少なすぎませんか?

会社への帰属意識が少ない従業員は就業規則の盲点をついて、いろいろ仕掛けてきます。その対策として解雇の項目は細かく規定したほうがいいでしょう。

6、解雇予告除外の認定に何日くらいかかるか知っていますか?

社内での犯罪や、社外で犯罪を起こし会社の名誉を毀損した場合でなければ解雇予告除外は認定されません。もし、認定されるという前提で労働基準監督署に申請しても、その後の現地調査等に時間がかかるため最短で2~3週間かかります。そうなると1ヵ月後を指定して解雇予告をしてもあまり変わらなくなってしまいます。そのあたりを勘案して申請するか決めてください。

7、「解雇制限期間」を勘違いしていませんか?

 「業務上の傷病による休業期間とその後30日間」「産前産後の休業期間とその後30日間」は解雇できません。よく勘違いされて、休業がおわり出社したその日に「30日後にやめてくれ」と言ってしまうことがあるようです。「その後30日」というのは出社して30日経過後に解雇予告ができるということです。

8、再雇用が慣行化している場合、不況を理由に拒否できますか?

再雇用が慣行化している場合、就業規則に記載されていなくても同様にみなされるため不況を理由に拒否することはできません。

9、定年後の再雇用で給与を変更できますか?

一般的には、定年後に再雇用する場合、業務内容も大幅に変更されるため当然給与についても改訂されます。本人と話し合い給与額を決定してください。

10、有期雇用契約期間中の解雇はできると思いますか?

原則はできませんが、止むを得ない事由があるときは解雇できます。「止むを得ない」とはやや抽象的ですが就業規則の解雇事由に準拠すればいいと考えます。

11、従業員が行方不明になり、退職させたいときはどうしていますか?

一般的な就業規則では、無断欠勤に該当させて懲戒解雇にしていますが、この場合従業員本人に解雇通知が到達していないと解雇そのものが無効になる可能性があります。法律上は公示送達という手続きをとることになりますが、このような面倒な処理をする前に就業規則の「退職」の条文に次の文章を追加しておいてください。「行方不明による欠勤が14日以上に及んだときは自然退職とする。」これにより解雇ではなく自己都合退職となりますので、解雇予告手当等の問題もなくなります。

12、退職時に年次有給休暇の残日数をまとめて請求されたときはどうしていますか?

原則は退職日までの日数分は取得させる必要があります。ただし「退職日からさかのぼった二週間以内の所定労働日については、原則として正常に勤務し、円滑な業務の引継ぎを行わなければならない。引継ぎを行わない場合、退職金を減額することがある。」くらいの記載は必要と思います。

富永労務管理事務所〜福島県就業規則作成室〜