今回は、令和7年(2025年)6月1日に施行される労働安全衛生規則の改正により、事業者に課されることとなった**「熱中症対策の義務化」**について、社労士の視点から解説いたします。
◆ なぜ義務化されたのか?
近年、職場における熱中症の死傷者数は増加傾向にあり、年間30名以上が命を落としています。その多くが**「初期症状の放置・対応の遅れ」**によるものとされており、これを防ぐために法令が改正されました。
◆ 事業者に求められる新たな義務とは?
改正後、事業者は以下の措置を罰則付きで義務化されます(安衛則第612条の2):
① 報告体制の整備
- 作業中に熱中症の症状が見られた場合、迅速に報告できる体制(連絡先、担当者など)を整えること
- 現場での即時対応が可能な体制を構築し、関係者に周知すること
② 実施手順の作成
- 作業場ごとに、熱中症の疑いがある者への対応手順(避難・冷却・搬送等)を定めておくこと
③ 関係者への周知
- 上記①②の内容を、労働者だけでなく同じ作業場で働くすべての関係者にあらかじめ周知すること
これらを怠ると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、法人にも両罰規定が適用される可能性があります。
◆ 対象となる作業は?
- WBGT(暑さ指数)28度以上、または気温31度以上
- 連続1時間以上、または1日4時間を超える作業
屋外作業だけでなく、高温多湿な屋内作業(工場、倉庫等)やイベント業務なども対象です。服装・健康状態・作業の身体強度も考慮しなければなりません。
◆ 実務対応のポイント
以下のような対策が推奨されています:
- WBGT値・気温の把握と作業判断
- 通風・冷房等による環境改善
- 十分な休憩場所の確保
- 休憩時間・作業時間の調整
- 水分・塩分補給の徹底
- 作業者の健康確認(バディ制・巡視等)
- 衛生教育の実施
◆ 社労士のサポート内容
当事務所では、以下のような支援を行っております。
- 熱中症対策の体制整備支援(報告体制・手順作成)
- 安全衛生教育の実施サポート
- 熱中症リスクの高い職場の洗い出しと改善提案
- 衛生管理者選任や委員会運営の支援
熱中症は命に関わる重大な災害です。この法改正を機に、ぜひ自社の対策状況を見直してみてはいかがでしょうか。
ご不明な点や実務対応でお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
富永人事労務経営
社会保険労務士 富永
